北海道のドローン測量|雪の現場で写真測量とレーザー測量をどう使い分けるか

広い範囲の地形を、上空から短時間で計測できるドローン測量。道路や造成の現場で、地形を3次元で捉える方法として活用されています。
一方で、北海道でドローン測量を使うとなると、気になるのが冬です。一面が雪に覆われた現場でも測れるのか。寒さの中で、機体やバッテリーはもつのか。
本記事では、北海道オホーツク地方で測量・ICT施工に取り組む株式会社ディ・エス・ジーが、国や北海道の公開資料と当社の現場での経験をもとに、写真測量とレーザー測量の使い分けと、雪の時期にドローン測量を行うときの工夫を解説します。
ドローン測量の2つの方法|写真測量とレーザー測量
ドローン測量には、大きく分けて2つの方法があります。ドローンに積んだカメラで地表を撮影する写真測量と、ドローンに積んだレーザースキャナーで地表を計測するレーザー測量です。
| 写真測量 | レーザー測量 | |
|---|---|---|
| 仕組み | 少しずつ重なるように撮影した多数の写真から、同じ地点を手がかりに位置と高さを計算する | 機体から地表へレーザーを照射し、はね返ってくるまでの時間から距離を測って、地表を無数の点(点群)として記録する |
| 得られるもの | 地形の3次元データに加え、色のついた画像 | 地形の3次元データ(点群) |
| 苦手な条件 | 草や木に覆われた場所、一面の雪のように模様の乏しい場所 | 水面など、レーザーがはね返りにくい面(雪面は、当社の経験では計測できる) |
どちらの方法も、工事でできあがった形や寸法を確かめる「出来形管理」に使える計測技術です。国土交通省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」には、3次元計測技術として「空中写真測量(無人航空機)」と「無人航空機搭載型レーザースキャナー」が挙げられています。
どちらが優れているというより、現場の条件によって向き不向きがあります。
参考:国土交通省「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」令和8年3月版
当社の使い分け|道路や裸地は写真 草木のある場所はレーザー
当社では、現場の地表の状態を見て、写真測量とレーザー測量を使い分けています。
| 現場の状態 | 選ぶ方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 道路や、土がむき出しの裸地 | 写真測量 | 地面がそのまま写るため、写真から地形を正しく捉えられる |
| 草や木がまばらに生えている場所 | レーザー測量 | 写真では草木の表面をそのまま地形として拾ってしまう。レーザーは草の隙間から届いた地面の点を選り分けて使える |
レーザー測量では、草の隙間から地面まで届いたレーザーの点と、草木の表面ではね返った点が混ざって記録されます。そこから地面の点だけを選り分ける処理(フィルタリング)を行うことで、草木の下にある地形を捉えられます。
写真とレーザーは、どちらか一方で足りるものではなく、現場ごとに選び分ける道具です。
雪の北海道でドローン測量はできるのか
結論から言えば、当社では雪の時期にもドローン測量を行っています。お客さまからご依頼があれば対応しており、段取りを整えれば一年を通して計測は可能です。ただし、真冬の1月に飛ばした経験は、当社ではまだほとんどありません。また、雪の季節には夏とは違う注意点があります。
測りたい地面が雪の下にあるときは除雪してから

当社では、2月や3月に、工事の出来形を確かめる測量でドローンを飛ばすことがあります。測りたいのは雪の下にある地面なので、そうした現場では、お客さまに重機で除雪していただいたうえで計測するのが基本です。
バッテリーの減りが早い
寒さでまず困るのは、バッテリーです。当社の機体では、夏であれば25分ほど飛べるところが、冬は10分ほどで飛べなくなることがあります。
北海道のウェブサイトによると、北海道は2022年度に積雪寒冷条件下でのドローン活用の実証事業を行い、冬季に飛行する際の注意事項をガイドラインとして公開しています。同じページには、冬季の運用の課題として「バッテリーの急速な消耗」や「着雪によるプロペラの凍結」が挙げられています。
冬の現場では、飛行できる時間が短くなることを前提に、計画を立てる必要があります。なお、風の影響は、当社の現場では夏と冬で大きくは変わりません。
参考:北海道「積雪寒冷条件下におけるドローン活用実証事業/冬季ドローン飛行ガイドラインについて」
雪面そのものを測る場合は写真測量が苦手

雪の上から測ると、得られるのは地面ではなく雪の表面の形です。それでも、積雪の状況を調べる場合のように、雪面そのものを測ることがあります。
写真測量は、重なり合う写真どうしで同じ地点を見つけ出し、その位置関係から高さを計算します。ところが、一面の雪原のように模様の乏しい場所では、手がかりになる地点を見つけにくくなります。
当社でも、一面が雪の現場を写真測量で計測すると、高さが狂ってしまうことがあります。雪面を測る場合は、レーザー測量が向いています。当社の経験では、レーザーは雪の白い面でもきちんと計測できます。
冬だからといって飛ばせない、ということではなく、除雪・バッテリー・雪面という冬ならではの条件に、一つずつ手を打っていくのが実際の運用です。
ここまでの内容を、冬の条件ごとに整理すると次のようになります。
| 冬の条件 | 起きること | 当社の対応・注意点 |
|---|---|---|
| 積雪で測りたい地面が隠れる | 出来形を確かめたい地面が雪の下にある | お客さまに重機で除雪していただいてから計測する(基本) |
| 寒さ | バッテリーの減りが早く、夏の半分以下の時間でもたなくなることがある | 飛べる時間が短くなることを見込んでおく |
| 雪面そのものを測る | 写真測量では、高さが狂ってしまうことがある | レーザー測量が向いている |
| 風 | 夏と冬で大きくは変わらない | 通常の運用と同じ |
雪の北海道でのドローン測量は、方法の選び方と段取りで成り立っています。
ドローン測量で変わったこと 変わらなかったこと

ドローン測量を導入して、現場の測量はどう変わったのでしょうか。
いちばん大きく変わったのは、現場を歩いて測る距離です。道路の測量では、道路の中心の線や、その線に沿った高低、線と直角の方向の断面を測ります(中心線測量・縦断測量・横断測量)。これらを現場で1点ずつ測る代わりに、ドローンで取得した3次元データから求められるようになり、歩いて測る距離は大きく減りました。それ以外の作業は、従来と変わりません。
現場での作業日数も、道路の測量で5日ほどかかっていた現場が2日で終わることがあります。ただし現場によってさまざまで、2〜3日かかっていた現場が2日になる程度のこともあります。
一方で、事務所での作業(内業)は、むしろ長くなりました。設計図面をもとに、3次元の設計データを作る作業が加わるためです。現場のどこでも計測できているので、内業はやりやすくなりましたが、作業そのものは増えています。
当社では、ドローン測量の価値は、測量の日数を縮めることそのものよりも、その先にあると考えています。現場を3次元で丸ごと取得し、そのデータと設計データを比べながら重機を半ば自動で動かす施工(ICT施工)につなげられることです。

ディ・エス・ジーのドローン測量体制
株式会社ディ・エス・ジーは、ドローンのほか、3Dレーザースキャナー、人工衛星の信号で位置を測るGNSS、1点ずつ距離や角度を測るトータルステーションといった測量機器を、現場の特性に応じて使い分けています。
ドローンの操縦は、メイン1名・サブ1名の2名体制です。2人ともほかの業務も担いながら、どちらかは飛ばせる体制にしています。操縦の免許は、ドローンを導入してから社員が取得しました。当社の採用情報でも、ドローン操縦の経験や資格を、優遇する経験・スキルの一つとして挙げています(必須ではありません)。
導入したばかりのころには、観測の精度がどうしても出ず、同じ現場に3回通って計測し直したことがありました。コツをつかむまでは、計測したデータを解析してみるまで使えるかどうかが分からず、焦ったこともあります。
ドローンは、導入すればすぐに使いこなせる道具ではありませんでした。
まとめ:北海道のドローン測量は方法の選び方と冬の段取りで決まる
最後に、本記事の要点を整理します。
- ドローン測量には写真測量とレーザー測量の2つの方法があり、国土交通省の出来形管理要領(案)にも、3次元計測技術として挙げられている
- 当社では、道路や裸地は写真、草木のある場所はレーザーを基本に使い分けている
- 冬は、測りたい地面が雪の下にあれば除雪してから計測するのが基本。バッテリーの減りが早いこと(夏の25分ほどが冬は10分ほどのことも)にも注意が要る。雪面そのものを測る場合は、写真よりレーザーが向く
- ドローンで現場を歩く距離は大きく減った一方、3次元設計データを作る内業は増えた。その価値はICT施工につながることにある
株式会社ディ・エス・ジーは、北海道オホーツク地方において、雪の季節も含めて、ドローンをはじめとする測量機器を現場ごとに使い分け、測量からICT施工までに取り組んでいます。
ドローン測量や冬の現場の計測についてお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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