土質調査・地質調査の基礎知識|ボーリングから室内試験・報告書までの5つの工程

工事現場の隣で、やぐらのような足場を組み、機械で地面を掘っている──そんな光景を見かけたことはないでしょうか。多くの場合、あれはボーリング調査と呼ばれる土質調査・地質調査の一場面です。

道路や橋、建物などの構造物は、すべて地盤の上に載っています。ところが、その地盤の中身は外からは見えません。どんな土の層が、どの深さまで続いていて、どれくらいの硬さなのか。それを工事の前に確かめるのが、土質調査・地質調査の役割です。

本記事では、北海道オホーツク地方で測量・土質地質調査・電子納品に取り組む株式会社ディ・エス・ジーが、業界団体や国の公開資料と、当社の公開情報をもとに、土質調査・地質調査の基本と、調査が実際に進む5つの工程を解説していきます。

目次

土質調査・地質調査は「地面の下」を見える化する仕事

AI生成によるイメージ画像です。実際の現場とは異なります

一般社団法人全国地質調査業協会連合会(全地連)は、地質調査を「地質、土質、基礎地盤、地下水など地下の不可視部分について、地質学、地球物理学、土質工学などの知識や理論をベースに、地表地質踏査、物理探査、ボーリング、各種計測・試験などの手法を用いて、その『形』、『質』、『量』を明らかにする」ものと説明しています。

少し硬い定義ですが、要するに、目では見えない地面の下の様子を、観察と計測によって工学的に「見える化」する仕事です。地下にどのような地層が(形)、どのような性質で(質)、どれくらいの規模で(量)広がっているのかを明らかにします。

なお、「地質調査」「土質調査」「地盤調査」という言葉は、対象や場面によって使い分けられますが、厳密な線引きが常に一致しているわけではありません。本記事では、建設工事のために地盤を調べる調査の総称として「土質調査・地質調査」と呼びます。

地質調査には学術研究や資源開発の分野もありますが、全地連によると、日本の地質調査の事業量の9割以上は建設事業に関わるものです。道路・河川・建物といった身近なインフラの足元は、こうした調査によって支えられています。

参考:全国地質調査業協会連合会「地質調査の定義と範囲」

なぜ工事の前に地盤を調べるのか

掘削が進む工事現場の様子(撮影:株式会社 ディ・エス・ジー)

地盤の性質は、場所によって大きく異なります。締まった砂れきの層が浅い深さから現れる現場もあれば、軟らかい粘土の層が厚く続く現場もあります。地表の見た目が同じでも、地下の条件は現場ごとに違う──ここに、調査が必要な理由があります。

もし地盤を確かめないまま設計・施工を進めると、次のようなリスクを抱えることになります。

  • 構造物の重さに地盤が耐えられず、沈下や傾きが起きる
  • 掘削した斜面が崩れるなど、施工中の安全に関わるトラブルが起きる
  • 軟弱な層や地下水の問題が後から見つかり、追加の対策工事で工期と費用が膨らむ

逆に言えば、地盤の情報が正確に分かっていれば、構造物に合った基礎の形式を選び、安全な施工計画を立て、無理のない工期と費用を見積もることができます。当社が、地盤の性質や構造を正確に知ることを「建築や土木工事における安全・品質・コストの起点」と位置づけているのは、このためです。

ただし、どのような調査をどれだけ行うかは、構造物の種類や規模、想定される地盤条件によって変わります。「この工事ならこの調査」と一律に決まるものではなく、目的に合わせて計画されるものだという点は押さえておきたいところです。

代表的な調査方法──ボーリングだけではない

全地連の資料では、地質調査の手法として、既存資料の収集、地表地質踏査、物理探査、ボーリング・サンプリング、孔内試験・孔内計測、サウンディング・原位置試験、土質試験・岩石試験、解析・判定などが挙げられています。代表的なものを整理すると、次のようになります。

調査方法何をするのか分かることの目安
ボーリング調査機械で地盤を掘進し、土や岩の試料を採取する地層の種類と深さ方向の構成、試料そのもの
標準貫入試験ボーリングの孔を利用して、サンプラーを地盤に打ち込む地盤の硬さ・締まり具合の目安(N値)
サウンディング・原位置試験現地で器具を地盤に貫入・回転させ、その抵抗を測る地盤の硬軟や強さの目安
物理探査・物理検層弾性波や電気などを利用して、地下の構造を推定する地層構造の広がりの目安
室内試験(土質試験・岩石試験)採取した試料を試験室で試験する土や岩の物理的・力学的な性質

この中で最も直接的な方法が、ボーリング調査です。実際に地盤を掘り、土や岩そのものを採取して確かめるため、その地点の地下の情報を確実に得られます。

ボーリングの孔を利用して行われる代表的な試験が標準貫入試験です。決められた方法でサンプラーを地盤に打ち込み、その打撃回数から地盤の硬さや締まり具合の目安を得ます。この回数はN値と呼ばれ、設計の基礎資料として広く使われています。

大切なのは、1つの方法ですべてが分かるわけではないという点です。地層の広がりの見当は物理探査で、確実な地層の確認はボーリングで、土の細かな性質は室内試験で──というように、目的と現場条件に応じて手法を組み合わせることで、初めて設計に使える地盤の情報になります。

参考:全国地質調査業協会連合会「地質調査業務の対象と手法」

調査の実務──ボーリングから報告書までの5つの工程

土質調査・地質調査は、現地で掘って終わりではありません。実務の流れは、おおむね次の5つの工程で進みます。

工程主な内容
1. 調査計画・準備調査の目的を確認し、既存の資料を集めたうえで、調査の位置・深さ・数量を計画する。現地の下見、機材の搬入路や埋設物の確認、関係者との調整もここで行う
2. 現地調査(ボーリング・原位置試験)やぐら(足場)を組んでボーリングを掘進し、深さごとに試料を採取する。標準貫入試験などの原位置試験もあわせて行う
3. 室内試験採取した試料を試験室に持ち帰り、土の含水量や粒度、強さなどを試験する。試験の項目は、調査の目的に応じて選ばれる
4. 解析・とりまとめ現地調査と室内試験の結果を突き合わせ、ボーリング柱状図や断面図などの形に整理し、工学的に解釈する
5. 報告書の作成・納品調査の結果と考察を報告書にまとめ、成果品として納品する。公共事業では、規定の形式による電子納品が前提になる

工程4に出てくるボーリング柱状図は、掘った地点の地層を、深さ方向に1本の柱のような形で表した図です。どの深さからどのような土の層が始まり、それぞれの硬さ(N値)はどうか──という情報が1枚に整理され、設計者が地盤を読み取るための基本資料になります。

また、工程5の納品は、紙の報告書を渡して終わりではありません。国土交通省の公共事業では地質・土質調査の成果も電子納品の対象とされており、「地質・土質調査成果電子納品要領」に沿って、ボーリング柱状図などを規定の形式の電子データとして納めます。こうして納品されたデータは、その後の設計や維持管理でも再利用されていきます。

(編集メモ:当サイトの電子納品解説記事の公開後、ここに内部リンクを挿入します)

なお、ここで挙げた各工程の中身や期間は、調査の規模や現場条件によって変わります。個別の業務では、発注者との協議・確認が出発点になる点は、他の調査・測量業務と同じです。

参考:国土交通省「電子納品に関する要領・基準」要領・基準類

調査の成果は、工事のあとまで活きる

AI生成によるイメージ画像です。実際の現場とは異なります

土質調査・地質調査の成果は、直近の設計・施工のためだけのものではありません。

設計では基礎の形式や深さを決める根拠に、施工では掘削の方法や安全対策の計画に使われます。そして構造物が完成したあとも、点検や補修、災害時の対応、将来の更新工事など、その地盤の情報が必要になる場面は長く続きます。整った調査成果が残っていれば、そのたびに一から調べ直すことなく、過去のデータを判断材料にできます。

地質調査業には、こうした役割を支える制度の裏付けもあります。建設省(現・国土交通省)の告示に基づく「地質調査業登録規程」が昭和52年に定められており、国に登録した業者が調査を担う枠組みが整えられています。地盤の調査は、それだけ公共性の高い仕事だということです。

参考:全国地質調査業協会連合会「地質調査業の法的基盤」

ディ・エス・ジーの土質・地質調査

株式会社ディ・エス・ジーは、測量、電子納品と並ぶ事業の3本柱の1つとして、土質・地質調査に取り組んでいます。地質調査業の登録(質04 第2615号)を受けており、社内には地質調査技士2名が在籍しています。

業務の内容は、ボーリング調査や載荷試験、採取した試料の室内試験など、この記事で紹介してきた調査の実務です。あわせて、次のような関連業務にも対応しています。

  • 非破壊試験──構造物や地盤の内部の状態を、対象を壊さずに確かめる検査です。当社では弾性波(超音波、衝撃弾性波など)を利用した試験に対応しており、一般社団法人弾性波診断技術協会の会員(第00079号)として、平成23年から非破壊試験業務に取り組んでいます
  • 環境調査──水質分析、土壌分析、騒音・振動調査など。当社は、環境省の土壌汚染対策法に基づく指定調査機関(環2003-2-362)です

また、当社は測量から土質・地質調査、電子納品までを一貫して手がけているため、現場でデータを取得した経緯や条件を踏まえたうえで、規定の形式の成果品に整理して納めるところまでを一連の流れで行えます。調査と納品が分断されないことは、転記や引き継ぎに伴うミスを減らすことにもつながります。

まとめ:地盤を知ることが、工事のすべての起点になる

最後に、本記事の要点を整理します。

  • 土質調査・地質調査は、目に見えない地面の下の「形・質・量」を明らかにする仕事。日本の地質調査の事業量の9割以上は、建設事業に関わるもの
  • 地盤の情報は、構造物の安全・品質と、無理のない工期・費用の土台になる。調査の内容は、構造物や地盤条件に応じて計画される
  • 実務は「調査計画・準備 → 現地調査 → 室内試験 → 解析・とりまとめ → 報告書の作成・納品」の5つの工程で進み、公共事業では電子納品までが仕事に含まれる
  • 調査の成果は、完成後の維持管理や災害時の対応まで、長く判断材料として活きる

株式会社ディ・エス・ジーは、北海道オホーツク地方において、ボーリング調査・室内試験・非破壊試験・環境調査などの土質・地質調査に、測量・電子納品と一体で取り組んでいます。

地盤の調査や測量についてお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


お問い合わせ
CONTACT

ご質問、ご相談等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
FAX、メールは24時間受け付けております。

目次