北海道の測量会社は冬に何をしている?|雪が降る前の段取りと冬の仕事・給料の実例

北海道で測量の仕事に興味を持ったとき、多くの方が気になるのが「冬」のことではないでしょうか。雪に覆われる季節に、測量会社は何をしているのか。仕事はあるのか。給料はどうなるのか。

北海道の冬を知っている方ほど、この疑問は切実です。ところが、測量の制度や技術を解説した記事は多くあっても、次の3つに会社の実例で答えた記事は、多くありません。

  • 北海道の測量会社は、雪が降る前に何をしているのか
  • 北海道の測量会社は、冬にどんな仕事をしているのか
  • 北海道の測量会社で働くと、冬の給料と休みはどうなるのか

この記事では、北海道開発局の公開資料をもとに雪と測量の関係を整理したうえで、北海道オホーツク地方で測量・地質調査を行う弊社、株式会社 ディ・エス・ジーの1年の過ごし方を、できるだけ具体的にお伝えします。北海道で働くことを考えている方に、「雪の季節があっても大丈夫」と感じてもらえたらうれしいです。

目次

雪が降る前が最後の集中期間|北海道の測量会社の1年

まず、弊社の1年の流れを大まかに並べてみます。

時期主な仕事現場の様子
雪のない時期(春〜秋)工事の始まりに行う起工測量、仕上がりを確かめる出来形の測量、データの処理と図面づくり現場に出る日が多い
秋〜雪が積もるまで雪が降る前に終わらせたい測量が一気に集中する慌ただしくなる時期
1月残っている測量があれば現場へ。事務所でのデータ整理や書類づくり(内業)現場は少なくなる
2月〜3月電子納品などの内業と、資格の勉強の時間出勤日がおよそ半分になる

雪のない季節は現場に出る日が多く、秋の終わりに向けて忙しさが山を迎えます。秋から動き出す川の工事などの測量も、この時期に重なってきます。そして雪が積もると、外の仕事はぐっと減ります。北海道の測量会社にとって、雪が降るまでの数か月は、1年の現場仕事を締めくくる最後の集中期間です。

なぜ雪の前に急ぐのか。次の章で、その理由を見ていきます。

なぜ雪の前に急ぐのか|積雪で3次元計測が難しくなる理由

美幌の現場でドローンを飛ばしている様子(撮影:株式会社 ディ・エス・ジー)

いまの土木の現場では、ドローンや地上型レーザースキャナーで地形を3次元で測る「3次元計測」が広く使われています。弊社も、工事の始まりに地形を測る起工測量などで、ドローンを使った測量を行っています。

ところが、雪はこの3次元計測の大敵です。北海道開発局が公開している「北海道におけるICT活用工事の出来形管理マニュアル【土工-積雪期編】」(暫定案)は、ICT活用工事について「3次元計測を行うためには積雪時期とならないように配慮する必要がある」としています。積雪がある場合は除雪をすることもあり、そのぶん施工管理の手間が増えるとも書かれています。

同じマニュアルには、工事の始まりに行う3次元の起工測量について、積雪があると残雪のために地面のデータが測れなかったり、レーザーが乱反射して計測が難しくなったりする場合があると記載があります。工事の仕上がりを測る場面でも同じで、ドローン(UAV)の写真測量では雪の下の土の面を直接写せません。測りたいのは雪の下の地面なのに、機械に見えるのは雪の表面だけ、というわけです。

測り方雪が積もると
ドローンや地上型レーザースキャナーによる3次元計測雪の表面しか捉えられず、地面を測るのが難しくなる
トータルステーションなどを使った従来の測量必要な点を1つずつ測る。雪をよけて地面の点を測れば、手間はかかっても対応できる

同じマニュアルでは、積雪がある場合は、角度と距離を測るトータルステーション(TS)や高さを測るレベルといった従来の手法で測ることにも触れています。弊社の現場でも、従来の測量であれば、雪が降ってからでも手間をかければ対応できます。一方で、ドローンを使う測量は雪が降ると難しくなります。

参考:北海道開発局「北海道におけるICT活用工事の出来形管理マニュアル【土工-積雪期編】」(令和2年6月・暫定案)

雪の現場でドローン測量をどう使い分けているかは、次の記事で詳しく紹介しています。

だからこそ、起工測量は雪が降る前にすべて終わらせたいというのが、弊社の現場の考え方です。雪の降り始めは年によって違うので、毎年同じ日付で区切れるわけではありません。空模様を見ながら、雪が積もる前にどこまで測り切れるかを考えて動きます。

雪の前の現場で求められること|掛け持ち・人のやりくり・天気との勝負

現場で基準点を確認している様子(撮影:株式会社 ディ・エス・ジー)

秋になると、弊社には一つひとつは小規模な現場が、一気に重なってやってきます。雪が降る前に起工測量を終えたい現場が、同じ時期に集中するからです。この時期の現場で求められるのは、いわば機動力です。

求められること現場での中身
現場の掛け持ち小規模な現場が同時期に重なるため、複数の現場を並行して進める
人のやりくり現場ごとに社員の配置を組み直しながら、雪までに回し切る
天気との勝負ドローンを飛ばすなら、雨や強い風の日を避け、飛ばせる日を逃さない

現場には、2人1組以上で出ます。小規模な現場を同時に動かすには、チームで分担して回すことが欠かせません。

天気との勝負は、北海道の秋ならではの難しさです。風が強い日や雨の日は、ドローンを飛ばすのが難しくなります。飛ばせる日を逃さずに、雪が積もるまでの限られた日数を、段取りの積み重ねで使い切ります。

慌ただしい時期ではありますが、ここを乗り切れば冬が来ます。

冬の仕事|電子納品などの内業と、資格の勉強の時間

事務所で図面を作成している様子(撮影:株式会社 ディ・エス・ジー)

雪が積もると、外の仕事はぐっと減ります。それでも、冬の仕事がなくなるわけではありません。

まず、秋までに終わらなかった測量があれば、1月にも現場へ出ることがあります。先ほど触れたとおり、従来の測量であれば雪の中でも対応できるからです。

そして、冬に事務所で進める内業には、電子納品があります。電子納品とは、公共工事で作った図面や測量データ、写真などを、決められた形式の電子データにまとめて発注者に納めること。フォルダの構成やファイルの形式まで細かく決まっていて、丁寧さが求められる仕事です。現場で測ったデータは、ここまで整えて初めて成果になります。

もうひとつ、北海道の測量会社ならではの冬の過ごし方があります。現場が減るぶん、資格の勉強にまとまった時間を充てられることです。測量士・測量士補の試験は年1回、例年5月に行われ、冬から春にかけてが準備の時期にあたります。この時間をどう使うかは本人に任せていますが、資格を取りたい方には、初回の受験料の負担や資格手当という形で応えています。

働きながら資格を取る道と、弊社の支援についても、ぜひご確認ください。

冬の給料と休み|月給は変わらず、休日が冬に寄る仕組み

冬に現場が減ると聞いて、「そのぶん給料も減るのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。

その心配には理由があります。北海道労働局の資料(令和6年度)には、積雪寒冷という気象条件から冬の産業活動が制約を受け、季節的に雇用を繰り返す「季節労働者」が道内に約3万人いると記載があります。そのうち建設業は約1万3千人です。北海道の建設の仕事には、ひとつの働き方として、冬の間は仕事を離れる形もあります。

参考:北海道労働局「季節労働者の推移と現況(令和6年度)」

弊社では、冬も月給は変わりません。 弊社は1年の中で休日の配分が変わる体制をとっていて、現場が減る2月・3月は、出勤日がおよそ半分になります。それでも、毎月の給与は通常どおりの支給です。

雪のない季節は隔週週休2日を基本に、年間休日107日を1年の中で配分しています。雪のない季節にしっかり働き、雪の季節にまとめて休む。冬も会社に籍を置いたまま、休日の配分で北海道の気候に合わせる働き方をとっています。

項目内容
給与月給23万円〜30万円(冬も変わりません)
年間休日107日(隔週週休2日を基本に、2月・3月に休日を多く配分)
勤務時間8:30〜17:30
時間外労働月平均5時間程度

出典:株式会社 ディ・エス・ジー「採用情報」(「冬も変わりません」「2月・3月に休日を多く配分」は弊社の運用)

残業が少ないことも、弊社が大切にしている点です。

まとめ:北海道の冬は、休みと準備の季節

冒頭で立てた3つの問いに、弊社の実例で答えてきました。

  • 雪が降る前は、起工測量を終わらせる最後の集中期間。積雪で3次元計測が難しくなるため、雪までに測り切ります
  • 冬は、残った測量と電子納品などの内業、そして資格の勉強の時間です
  • 冬も月給は変わりません。2月・3月は出勤日がおよそ半分になり、雪のない季節に働いたぶん、冬にまとめて休めます

北海道の測量の仕事は、雪とともにリズムが変わります。秋は慌ただしく、冬は落ち着いて次の春に備える。その波を、会社の仕組みとして受け止めているのが弊社の働き方です。

つまり、北海道の測量会社にとって冬は、仕事がなくなる季節ではなく、休みと準備にあてる季節なのです。

弊社にとって北海道の冬は、仕事の心配をする季節ではありません。


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